融資において必要な保全(担保や保証)について

銀行が融資の審査をする際の重要な要素として、企業の将来性や経営状況を見ると共に、万が一返済が困難になった場合の備えとして、不動産などの担保(物的担保)や保証人(人的担保)の状況も確認することになります。

担保があれば、融資先が返済不能になった場合、担保を売却することで融資残高の一部又は全部を回収することができ、銀行にとってはリスクが大幅に軽減するので、融資がしやすくなるのです。

担保について

最近では、金融庁が金融機関に対し、担保に頼らず企業の将来性を見て貸し出しを増やすよう方針を出したりしているにもかかわらず、相変わらず日本の銀行は担保を重視しています。

それは銀行のリスクを軽減する為ですが、借り手にもメリットはあります。

担保があることで、融資の審査が通りやすくなり、保証人が不要になる場合もあります。また、融資額を大きくすることができたり、金利を低くすることも可能です。

ではどのようなものが担保になるのでしょうか?また、どのように担保を評価するのでしょうか?

ここでは物的担保について書いていきたいと思います。

担保の対象になるもの

銀行融資における担保として一般的なのは土地や建物などを対象とした不動産担保でしょう。

実際担保のほとんどは不動産となっています。

では不動産を保有していなければ担保がないとみなされるかというと必ずしもそうではなく、不動産以外でも担保の対象となるものがあります。

不動産担保

土地や建物等の担保物件に抵当権や根抵当権を設定することで担保とします。

抵当権や根抵当権は順位も重要で、後順位になるほど担保としての価値は低くなります。

また、土地は建物と違い経年劣化しない為、担保対象として最も好まれます

土地の担保評価額は、路線価等を元にして算出した時価に、掛け目をかけて算出します。

必ずしも土地が時価で売却できるとは限らないので、評価を低めに設定する為に掛け目を掛けるのですが、不動産は競売や任意売却などで売却する為事務コストがかかり、時間もかかるので流動性が低い(現金化しにくい)と考えられ、掛け目が70%と低い設定なのが一般的です。

建物の担保評価額も土地と同様に、算出された時価に掛け目を掛けて算出します。

なお、価格は高いが買い手がなかなか見つからないような不動産は、流動性が低い(現金化しにくい)とみなされる為、さらに評価は低くなってしまいます。

有価証券担保

担保の対象となる有価証券は、株式、国債・地方債、社債、受取手形、小切手など、財産権を表す証券で、質権又は譲渡担保権を設定する事で担保とします。

有価証券の担保評価は、その有価証券の発行主体の信用度、流動性が高いか否か、相場に左右されるか否かなどによって判断されます。

国債のように国が発行し、流動性が高いものは額面の90%まで評価してもらえることがあります。

株式は上場企業や大手企業は信用度が高く、流動性も高いのですが、相場によって価格が左右される為、国債よりは低い掛け目となります。また、未上場企業や中小企業、東証以外の上場企業などは、さらに低い掛け目となります。

社債は発行主体が大手企業であれば信用性も高く、流動性も高いので、評価も高めに設定してもらえますが、未上場企業や中小企業では買い手を見つけることが難しいこともあり、評価が低くなってしまいます。

動産担保

保有している機械設備や自動車などの特定の動産の他、在庫商品のように流動的な動産にも動産譲渡登記を行うことにより動産譲渡担保権を設定する事で担保とします。

動産担保に設定する譲渡担保権は質権と違い、債権者である銀行に引き渡すことなく使用し続けることができます。

動産担保の掛け目は70%以下と言われています。

債権担保

売掛金などの債権の他、保険金や定期預金などの債権に対して質権又は債権譲渡担保権を設定する事で担保とします。

ABL(動産・債権担保融資)とは

ABLはアセット・ベイスト・レンディング(Asset Based Lending)の略で、動産や債権を担保とした融資です。

最近では金融庁がABLの積極活用を推進したり、損害保険会社が、ABLで万が一回収できない場合の補償を商品化するなどしていることもあり、銀行が不動産以外の担保での融資をしやすくなっています。

特に不動産を保有していない中小企業にとって、動産や債権が担保になれば融資を受けやすくなります。

保証について

中小企業では、融資の担保となる不動産を所有していないケースもよくあります。

また、商品の在庫や機械などの担保となる動産も持っていないサービス業の様な業種もありますし、十分な債権等も持ち合わせていなくて物的な担保を提供できない場合もよくあります。

このような場合、融資を受ける事ができないのでしょうか?

不動産や動産などの物的担保に対し、保証(保証人)は人的担保と呼ばれたりします。

物的担保が得られない場合、人的担保である保証人をたてることで融資を受けることができます。

逆に銀行は、担保がある場合でも保証人を求めてくる場合があります。

物的担保の価値が変動し、担保だけで返済分をまかなえなくなる事もあるため、その備えとして保証人を要求するのです。

保証人

通常金融機関が求める保証人は、連帯保証人のことを指します。

連帯保証人はただの保証人に比べかなり重い責任が課されます。立場的には債務者と同じであり、返済が滞った時、金融機関は債務者を通さず直接連帯保証人に返済を催促することができます。

その為以前は、連帯保証人になった第三者が大きな被害を受けるケースが相次ぎ、大きな社会問題になっていました。

そのような事から最近では、経営に関係のない第三者を連帯保証人として求めることは原則禁止とするよう、金融機関に通達されています。

現在では連帯保証人は経営者の個人保証である場合がほとんどです。

信用保証協会

銀行の融資には信用保証協会の保証が付いた融資と保証協会の保証のないプロパー融資がありますが、中小企業の場合はほとんどが保証協会付きの融資になります。

それは、プロパー融資の場合は銀行にとってリスクが高くなると同時に、審査もかなり厳密に行わなければならないのですが、そのリスクや審査の部分を保証協会が負ってくれるからです。

また、保証協会付き融資の方が、銀行内での銀行員の評価ポイントも高くなるため、銀行はプロパー融資ができる場合でも保証協会付き融資で進めようとします。

そしてその保証協会の審査が通れば、つまり保証協会の保証が得られれば銀行は融資を実行してくれます。

ただ、その保証協会の保証を得る為には、当然保証協会の審査を受ける事になるのですが、その際ほとんどの場合、法人代表者が連帯保証人になることを要求されます。

最近では、中小企業庁から出されている「経営者保証に関するガイドライン」に書かれた要件を満たせば、経営者保証が不要になる場合もあります。